庭
庭を作り植物を植えること。
植物があることは室内や屋外から見た時にその場を柔らかくしてくれる役割をしてくれますが、実際は植物は見た目を良くするだけのものでは無いのです。
作庭家の西村氏と初めてお仕事を一緒にしたとき、彼は窓の目の前に植物を植えました。
彼と出会う前は、知識不足で庭の真ん中にポツンとシンボルツリーの様に植える事くらいしか考えておらず、室内からその植物の全景を眺める、そんな配置を植木屋さんにお願いして、植えてもらっていました。
しかし、彼が窓の目の前に全景が見えない大きな樹木を植えた時にはとてもびっくりしました。
初めは外から建物とのバランスで植えたのだと思いましたが、それ以上に大切な役割があったことを実際わが家に住んでみて実感しました。
コンクリートや砂利など植物が無い状況では地面が熱い日差しに照らされ照り返しや室内に熱風が流れてきます。
こんなチンチンに焼けたコンクリートや砂利は夜になっても熱を持ち、窓を開けて寝る事も出来ないでしょう。
(真夏の砂利の河原を想像してもらうと良く分かります。)
窓の目の前に大きな植物や多くの樹木がある事で、日中は木陰をつくり暑い日差しを遮ってくれます。
そして朝晩水を撒けば、気流をつくり涼しい風が室内に入ってきます。
日差しを遮る役割の他、葉が風でそよぐ音は風鈴の様に視覚と聴覚で涼を感じる事が出来ます。
この様な機能面以外にも大きな役割がありました。
室内から見て、太い幹しか見えていないですが、その太い幹は柱の様な存在で室内とその向こう側の領域との奥行きを感じさせてくれます。
細く目に納まる大きさの植物では平面的な風景となってしまいますが、大きく太い幹により立体的で庭を大きく感じさせてくれるのです。
西村氏が大きな植物を植えたい理由が、植えて2年3年経った時に実感し理解できるようになりました。
実際、彼の作る庭は2年3年した時に、植えた樹木たちが慣れて適応して奥深さや厚みと言うのでしょうか、その良さが増していきます。
勿論、植物(樹木)を育てるには、少しばかり手間がかかります。
植えて活着するまではしっかりと水遣りをして、気が向いたときに雑草を抜いてあげ、植物の様子(成長)を見てあげられれば難しい事はないです。
実が成り、花が咲くと一層庭の喜びを感じられます。
庭(植物)に抵抗がある方もいると思いますが、植物にはこんなに多くのメリットがあるので、出来る限り居心地の良い住まいを提供するために、一本でも多く植物を植えていきたいと思います。
次回の作庭は house Y 。再来週の予定です。
どの様な庭になるのか楽しみです。